繁殖のお話

動物には様々な繁殖方法がありますが、中でも特徴的な半鐘k戦略についてお話しましょう。

姫路セントラルパークでも飼育しているヒグマの繁殖方法は、6~7月頃に交尾の季節を迎え、2月頃の冬眠中に400g前後の小さな子供を出産します。

妊娠期間が7ヶ月前後と長い割には、小さな子供を産むと思いませんか?実はヒグマは着床遅延という方法で繁殖します。その仕組みは、交尾により受精した卵子は母親の子宮内で着床せず、母親から栄養を貰いながら休眠状態で浮遊し、着床の時期を待ちます。実際の妊娠期間は2~2.5ヶ月程度と推測されますが、着床の時期は12月上旬となり、これは冬眠に入る時期とほぼ重なるようです。これは未成熟で生まれる子供を、冬眠中に安全な巣穴の中で育てる事が繁殖戦略として有利である、という説が有力なようです。

他にも、ミンク、アザラシ、カンガルーなども着床遅延による繁殖を行ないます。カンガルーの場合、生息地のオーストラリアでは乾季に出産すると、栄養豊富な青々とした草を食べることが不可能であり、子供に十分な母乳を与える事が困難であるためと考えられています。

このように、動物の生活様式によって様々な理由で着床遅延が行なわれていますが、野生動物界ではさほど珍しい現象でもないようです。(それほど厳しい環境下で生きている、ともいえます。)

その他にも、受精を遅らせる受精遅延や、胎児の発育を遅らせる発育遅延などの方法が確認されています。

また、げっ歯類(ネズミの仲間)は母体の栄養状態が悪い時に妊娠すると、一部の胎児の栄養供給を停止し死亡させ、その死亡した胎児を吸収し、母体の栄養状態を改善させます。胎児数を少なくすることで、1頭当たりの栄養量を増やし、より確実に健康な子供を出産する傾向があります。逆に栄養状態が良い時に妊娠すると、多頭数の胎児を育てることができ、幼児期の高い死亡率に対抗する現象が起こります。これはホルモンバランスが影響しているのですが、野生動物が寄り高い確率で自分の遺伝子を残そうとする涙ぐましい努力の結果なのです。

特例として、ハリモグラとカモノハシは卵で産んで母乳で育てます。哺乳類と鳥類の特長を備え持つ、不思議な繁殖方法をする動物です。