ラクダのお話

昔は、「ラクダのコブには水が入っている」なんて話を信じていましたが、現在は脂肪の貯蔵庫になっていて、食料が無い時のエネルギー源になっていることが知られています。

動物園や砂丘などの観光地では飼育されていますが、ヒトコブラクダの野生種はすでに絶滅しており、現在は家畜種が残っています。またフタコブラクダも絶滅危惧種に指定されており、野生種は1000頭以下になっている希少種です。

このラクダの体を調べると大変面白い構造になっていますので、ご紹介しましょう。

まず一番特徴的なコブですが、ヒトコブラクダで50kg、フタコブラクダで25~30kgほどあります。(余談ですがコブは珍味だそうで家畜種を食用にする国もあるそうです。)生まれたばかりの子供はコブが袋状に垂れ下がっている状態で、生後20日ぐらいから脂肪が貯まり始め、1年ほどで小さいながらも大人並みの形になります。

ラクダは「砂漠の舟」と呼ばれるくらいに特化した動物ですが、全身の脂肪を背中に集めることは、直射日光を防ぐ効果があり、脂肪の少ない腹部から熱を発散させて体温を調整しています。また体温を外気温と同じくらいに上げることで汗をかかずに水分の蒸発を防いでおり、1日の体温変動は34~40度にもなります。

さらに、尿もごく少量で1日1ℓほどの濃度の高い状態で排泄して、水分を可能な限りリサイクルしています。成人男子で平均700ccですので体格を考えるとかなり少ない量です。

コブの志望には水素が含まれていますが、エネルギーとして燃焼させるときに脂肪1g当り1.07gの水分が作られますので、50kgのコブからは53.5ℓの水分を作ることもできます。(コブに水が溜まっているといった説はあながち間違いではないのかもしれません。)

ラクダは体の水分の35%を失っても生存することが出来るほどの能力がありますが、オアシスなどに辿り着くと一気に水分補給をします。180ℓ程度(バスタブぐらい)であれば15分ぐらいで飲み切ってしまうそうです。この多量の水分は血液中に溜め込むことが可能で、人間の場合は赤血球が破裂してしまいますが、ラクダは赤血球を2倍に膨らませて貯水することができます。

砂漠や乾燥地帯に特化した体の特徴はほかにもあります。足の裏には蹄が2つあり、進化の過程で中指と薬指が残ったもので、直径が大きく押しの裏はやわらかく砂に潜りにくくなっています。さらにまつ毛が長く、鼻も完全に閉じることが出来るので砂漠にも耐えることが出来ます。

このようにラクダは砂漠や乾燥地帯に有利な進化をしましたが、湿度の多い環境下では感染症などの抵抗力が低いため、健康に飼育する事が困難なようです。

最後に余談ですが、フタコブラクダとヒトコブラクダの雑種のコブはどのようになると思いますか?(私も実際に見たことは無いのですが)一見したところヒトコブに見えるそうですが、くびれがあり後ろのコブが半分ほどの大きさになるそうです。つまり、ヒトコブハンラクダなのだそうです。

姫路セントラルパーク 動物部
副園長 坂出 勝