スーパー生物のお話

史上最強の生物は、ライオンでもゾウでもなく、クマムシだと思います。
「あったかいんだからぁ~♪」のクマムシではなく、緩歩動物(かんぽどうぶつ)のクマムシです。体長0.5~1.7ミリ、8本の足の先には4~10本の爪が生えています。想像するだけでモンスターのようですが、もっと凄いのは身体能力です。

陸上に棲むクマムシの多くは、コケの中に住むことが知られており、脱皮を繰り返すことで成長しています。消化器官はありますが、呼吸と循環の器官は無く、体表から直接行ないます。熱帯から極地、深海から高山まで、あらゆる環境に生息しています。150℃から絶対零度(マイナス273℃)にまで耐え、放射線は人間の致死量の1000倍以上でも屁の河童。
体の水分が0.05%まで低下する乾燥にも耐え、宇宙空間に放置しても10日間の生存記録があります。もうこれは宇宙怪獣のレベルです。このような生物がすぐそばに生息しているのです!(人間ぐらいの大きさがあれば、地球を征服されるのではないか!?と想像してしまうのは私だけでしょうか。クマムシ恐るべし。)

この不死身の体にはどのようなカラクリがあるのでしょうか?
クマムシは、環境が乾燥状態になると、体を樽状に変化させ代謝を完全に停止させて、休眠状態にすることで不死身の体に変化させるのです。この状態を「クリプトビオシス」(隠された生命活動の意)、または乾眠(かんみん)と言います。この状態では、10年程度の生存が確認されています。(50歳代の方には懐かしいシーモンキーも同じ状態です。)

ここで疑問です。
不死身の生物は本当に存在するのでしょうか?
いやいや、飼育係として不死身の生物を認めることは出来ません。生命あるものは必ず死を迎えるものです。実はクマムシにも弱点があるのです。クリプトビオシスの状態になるためには半日以上の時間が必要なのですが、クリプトビオシスになる前の状態で、陽気にトコトコ歩いている時に、熱湯をかけるだけで呆気なく死んでしまうのです。(地球制服は回避されました。)
クマムシの寿命は、クリプトビオシスになっていない状態では3~6ヶ月程度です。

顕微鏡で観察できますので、ぜひチャレンジしてみて下さい。採取するには、ギンゴケや水に沈んでいる竹類の葉についていることが多いようです。

姫路セントラルパーク動物部
副園長 坂出 勝