魔法があるなら

libra1603
アレックス・シアラー 著
野津智子 訳
PHP研究所
2015年1月刊


もし、やむにやまれぬ事情で子どもを連れて引っ越しを余儀なくされたとしても、デパートで暮らそうなんて考えるでしょうか。母子3人でデパートに隠れ住むなんて、どう考えても無理だと思うのです。ところが、リビーのママは、そんなまさかの引っ越しを決行してしまいます。

世界でいちばんすてきな「スコットレーズ・デパート」の時計が午後6時をさしたときから、とびきりスリリングな冒険がはじまったのです。そんなとんでもない引っ越しを考えつくママは、いったいどんな人なのでしょう。天真爛漫な小さな妹アンジェリーンを連れて、怪しまれずに住み続けることなどできるのでしょうか。食べ物やお風呂はどうするの?警備員の巡回や清掃業者を、どうやってやりすごすの?学校には通えるの?ピンチの連続に、ハラハラどきどきするストーリー展開になっています。

“警察署の取調室でのリビーの話”という語り口が、とても魅力的です。子どもらしい空想や、ユーモアに満ちたつぶやきはかわいらしく、家族の絆の確かさを感じます。一方、大人ではないけれど、もう小さな子どもではない微妙な年頃のリビーの言葉は、ものごとをあるがままに見ており、ときに鋭く真実を就きハッとさせられます。正しいことを貫く大切さをあらためて考えさせられ、大人にも子どもにも読んでほしい一冊です。

丹波市立青垣図書館 近藤広子