王への手紙 上・下


トンケ・ドラフト 作
西村 由美 訳
岩波少年文庫


 
ダホナウト王国に住む16歳の少年ティウリは、騎士になるための大事な日に、致命傷を受けて死にゆく白い盾の黒い騎士から、一通の手紙を託されました。その騎士の願いは、誰にも知られず、手紙を隣国のウナーヴェン王国へ届けること。ティウリは、とまどいながらもそれを承知します。

手紙にはどんなことが書かれているのかわからないまま、ティウリは西へ西へと旅を続けます。人目を避けるため、街道を離れ森の中を進んだり、けわしい山越えをしたり。手紙を狙う敵から幾度となく襲われながらも、助け、支えてくれる人たちと巡り合い、国境の山で出会った少年ピアックとともに、ついにウナーヴェン王国へと足を踏み入れました。

この本は2004年に、オランダで出版された過去50年間の子どもの本の中から、第1位の良書に選ばれました。主人公ティウリの心理描写が非常にこまやかに描かれているので、知らず知らずのうちに物語の中に引き込まれていきます。ひ弱な一面を持っていたティウリが秘密の任務を果たすため、思慮深く、時には勇敢に行動する姿に、子どもはもちろん、大人も魅了される作品です。

多可町図書館 吉田 麻美