泣き虫ハァちゃん

libra1508
河合隼雄・著 岡田知子・絵
2007年 新潮社発行


この作品は、篠山市出身の心理学者・分析心理学(ユング心理学)・元文化庁長官の河合隼雄さんが、自分の子供時代の出来事を病で倒れる間際まで書かれていた自伝的小説です。

主人公のハァちゃんは河合隼雄さん自身で、男ばかり6人兄弟の5番目。兄弟の中で一人だけ泣き虫ですが負けん気が強く、頭が良くてふざけ好きな面もある男の子です。

舞台はハァちゃんのふるさと。厳格だがリベラルなお父さんやあたたかい愛情溢れるお母さん、強いが優しい兄弟に見守られながら、友達と自然の中を駆け巡り、いろいろなことを経験し力強く成長していく少年の姿を描かれています。

ページをめくりながら、現在とは違う生活風景などが描かれた絵を見ると当時の様子が浮かんできます。そして、お母さんが「男の子も、泣いてもええんよ」という場面や、「お池にはまったどんぐりは、家に帰れたんやろか」と心配になって泣いてしまう場面などに心打たれます。あたたかい気持ちになったり、子供に戻ったような気持ちになったり…心が動かされる物語です。

篠山市立中央図書館 赤い 毅彦