和菓子のアン

libra1607
坂木 司/著
光文社


今や“スイーツ”という言葉は立派に市民権を得ていますが、そこから皆さんがイメージするのは洋菓子が多いように思います。もちろん洋菓子は華やかで美味しいですが、日本にも和菓子という素敵なスイーツがあるじゃないか!ということを思い出させてくれる作品が、この『和菓子のアン』です。

物語の主人公は、高校卒業後に百貨店地下の和菓子店「みつ屋」でアルバイトを始めた梅本杏子=通称アンちゃん。彼女は少し(?)ぽっちゃりした体型のせいか、どうにも自分に自信がない様子。そんな彼女が、仕事はできるけれど、やや個性的すぎる店長や同僚に囲まれながら、日々お客様や和菓子に関わり、謎ときをしていく中で、少しずつ自分に自身をいていく爽やかな成長物語です。

和菓子屋さんが舞台なので、和菓子の名前が沢山出てきます。特に春夏秋冬・日本の四季に合わせた上生菓子の名前や描写がとても美しい。四季だけでなく、和菓子にはそれぞれ物語があり、歴史、言葉、技術…日本の生活のあらゆる要素が詰め込まれているんだなあと感動します。読み進めていくと、きっと実際の色や形や味が知りたくなるに違いありません。そんな時は和菓子屋さんを覗いて見るもよし、食べるのは無理ですが図書館で和菓子の本を借りてみるのもよし、ですね。

七月の「みつ屋」では、織姫と彦星が出会うためカササギが橋を架けに行く様を表現したお菓子「星合」を並べるそうです。ちょうどこの原稿が掲載されるのも七月ですね。少し切なくて、ほっこり暖かい「みつ屋」の七夕エピソード、ぜひ一度味わってみて下さい。。