マシュマロ・ナイン

libra1611
横関 大/著
角川書店


物語は奇想天外なほど面白い。

今夏の甲子園は、東の横浜、西の履正社が優勝候補に挙げられていて、優勝した作新学院はエース今井投手の速球が注目される程度でした。

それが、あれよあれよの勢いで優勝まで駆け上がりました。やはり高校野球。筋書きのないドラマチックな展開満載の大会でした。

「マシュマロ・ナイン」は、そんな高校野球の物語で、「ナイン」はもちろんスタメン人数ですが、さて、「マシュマロ」はなんでしょう?物語は奇想天外なほど面白い。

プロ野球東京オリオンズの貴重な中継ぎベテラン投手だった小尾竜也は、まったく身に覚えのないドーピング疑惑で球界を追われます。事件後、私立新栄館高校の臨時体育教員として第2の人生を始め3年が経った折、好調から突然の呼び出しを受け、強引に野球部の監督就任を命じられます。しかし、その野球部は不祥事を起こして無期限の活動停止になった相撲部員を転籍させて創られたものでした。力士は…いや、選手は走れるのか、守れるのか、そして、試合が終わるのか…。まさに奇想天外です。

挫折からの再起を図る中年男が自身の馘をかけて、人並み外れた食欲とパワー。そして体重を持ったぽっちゃりだけど野球はずぶの素人男子たちと悪戦苦闘しながら甲子園を目指します。でも、単なるどすこい野球コメディーではありません。裏にどす黒い浴が渦巻いた奇想天外な物語です。だから、面白い。

多可町図書館 木俣 幸雄