ドナ・ビボラの爪 上・下

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宮本 昌孝/著
中央公論新社


“美濃のマムシ”と言われた斉藤道三の娘で、織田信長に嫁いだ帰蝶(濃姫)。彼女の史料は極めて少ないため、その生涯には謎が多く、没年も諸説ある。

ここでは、帰蝶は父に瓜二つの醜女として描かれ、父道三からは自分に似ていることもあり可愛がられるが、生母である小見の方からは、何故か愛されずに育つ。成長するにつれ自分が不容色(ぶきりょう)であることがわかってきた帰蝶は、だから自分は母から疎まれるのであろうと感じ、女としての自分に自信が持てないまま、父のため「よき武将」になれるよう、武芸習得にはげむ。

時が経ち、年頃の帰蝶に縁談の話が持ち上がるが、相手は当時「うつけ者」と嗤われていた織田信長であった。美濃と尾張の和睦のための政略結婚だが、帰蝶は「そなたを見初めた」という信長の言葉を信じて嫁ぎ、尽くし、愛される喜びを味わった。しかし、ある疑いをかけられ、信長によって殺されてしまう。表向きは事故死として片付けられたが、それを不信に思う者達がいた。帰蝶の人柄に魅了された人々により、信長への復習が始まった…。

小説だからこそできる大胆な設定に史実を織り込み、帰蝶と帰蝶を愛する人々が実に魅力的に書かれています。騙し合い、裏切りが常の戦国の世にあって、信じることの強さを教えてくれる小説です。

加東市図書・情報センター

※書名の「ドナ・ビボラ」の「ドナ」は、ポルトガル語で身分の高い女性への敬称、「ビボラ」は「まむし」を意味します。