せかいいちのねこ

libra1606

ヒグチユウコ/絵と文

白泉社

2015年11月発行


最近は猫ブームだそうですが、絵本の世界では以前から猫たちが大活躍しています。そんな中で、大人にも大人気の画家ヒグチユウコさんの新しい絵本をご紹介します。

主人公はぬいぐるみのニャンコ。名前をつけてくれた男の子は赤ちゃんの時からずっと一緒で、ニャンコをとても大切にしてくれます。「ぼくはきっと せかいいちしあわせな ぬいぐるみだと思う」というニャンコでしたが、男の子が成長してもずっと仲良しでいられるよう本物の猫になりたいと願います。本物の猫になってもっと愛されて「せかいいちのねこ」となるために、魔力を持つという猫のヒゲを集める旅に出たニャンコは、旅の中でいろんな猫たちと出会います。子猫の時に心無い言葉で傷つき、帽子を手放せなくなった「ぼうしねこ」や、静かに話を聞き、大人の助言をくれる「大きな旅のねこ」、そして同じ家に住む「いじわるねこ」。そんな猫たちとの交流を通して成長していくニャンコでしたが…。

この絵本を読んでみて、まず緻密でリアルな絵に圧倒されます。可愛いだけの猫ではありません。どこまでも細密に描かれたリアルな猫には一種の恐ろしさすら感じます。そして微笑まないその表情から読み取れる、悲しみや寂しさ、そして優しさや寛容さ。多くを語らない絵本の中の猫たちが、ふとした表情から優しさを感じさせるとき、大人は癒されるのかもしれません。大人にも絵本は必要なのだと感じさせてくれる一冊です。