あひるのピンのぼうけん

libra1509
マージョリー・フラック・文
クルト・ヴィーゼ・絵
まさき るりこ・訳
瑞雲舎発行


この作品は1933年に初版が発行されて以来、これまで83年間の長きに渡って世界中の多くの人々に読み継がれてきた傑作中の傑作です。表紙の絵をご覧になって「この絵本なら知ってる」と思われた方もきっと多いことでしょう。

物語は、中国大陸を流れる揚子江という大きな川に、大勢の家族と一緒に暮らしている、ピンという名の子どものあひるのお話です。ある日、ピンは船に戻るのに遅れて一人ぼっちになってしまいます。一人っきりで不安な一夜を明かしたピンは、餌になる魚をさがしに揚子江を下っていきますが、途中、様々な怖いめに遭います。

この絵本には、揚子江の雄大な景色と自然の恵みを受けて生活する人々の暮らしぶりが描かれており、時間がゆったりと流れるのどかな大陸の日常が読者に伝わってきます。この絵本が発行された1933年頃は、世界中が戦争への道を歩み始めた時代です。もしかすると作者は、ありふれた日常の大切さや平和の尊さをこの絵本を通して世界中の人々に気づいてもらおうとしたのかもしれません。

多可町図書館 藤田 善晴