「あいうえおの本」


安野 光雅 作
福音館書店


1976年(昭和51年)に発行された「あいうえおの本」は、五十音のひと文字ひと文字が角材でデザインされ、その文字を頭文字に持つ植物や動物・虫・道具といったいろいろな絵が、まるで隠し絵のように文字の周りに描かれています。

たとえば「ふ」のページは、「札(ふだ)」を思わせるデザインの大きな「筆(ふで)」が描かれ、その回りに描かれた藤の花・風鈴・ふぐといったすぐ見つかるものや、この花はなんていう名前の花かな?と考えるものもあります。

作者の安野光雅は現在91歳。島根県の津和野出身です。小学校教員の経験を持ち、42歳の時にエッシャーに影響を受けたという「ふしぎなえ」で絵本作家としてデビューしました。

「あいうえおの本」の2年前に世に出た「ABCの本 へそまがりのアルファベット」は、同じく文字を角材でデザインした本です。平面のものである文字を立体的に組み合わせて描くのは、冬至は全く新しい発想で、欧米でも高い評価を得ました。

「文字を教えよう、というのではない、日本の伝統的な形と、ことばとを結びつけたかった」と作者はかたっていますが、おたふくのお面やけん玉・神輿など、いわゆる昔懐かしい日本独自の「もの」に気軽に触れ、なにげなく文字や麻苗を覚えることにつながるのかもしれません。

西脇市図書館では、おすすめ絵本のコーナーに置いてあります。お年を召された方から小さなお子さんまで、おすすめしたい本です。またNHKの番組「デザインあ」が好きな方には、特に一度ご覧いただきたいなと思います。

西脇市図書館 藤原 悦子